普段のおしゃれ着として、着物好きな方に人気の小紋。
ついついコレクションしているうちに、いつの間にか袖を通さなくなったものもありますよね。
タンスの肥やしにしておくよりは・・・と買取査定を考えている方も多いと思いますが、結婚式などで着用できる訪問着や留袖に比べて、着る機会が少ない小紋はその価格が気になるところです。
そこでこの記事では、
- 小紋の一般的な買取相場
- 相場よりも高く売れる小紋の特徴
- 買取業者を上手に選ぶコツ
を詳しく解説していきます。
もしかしたら、あなたがお持ちの小紋は良いお値段で買い取ってもらえるかもしれません。
高額査定のポイントをしっかり押さえて、タンスの整理に役立てていきましょう。
Contents
”普段着きもの”の小紋はどのくらいの価格で買い取ってもらえるの?
着物の世界では、着用にふさわしい場所(フォーマル度)に合わせて着物の種類を3段階に格付けしています。
小紋はその3階層目の、もっともカジュアルな位置づけに当たります。
洋服で例えるならば、普段に着る総柄のワンピースが小紋です。
格式 | 着物の種類 | ふさわしい場所 |
第一礼装(フォーマル) | 黒留袖 色留袖 振袖 |
近しい親族の結婚式 |
第二礼装(セミフォーマル) | 訪問着 付下げ 色無地(紋付き) |
結婚式、入学・卒業式、お宮参り、七五三、同窓会、お茶会、パーティーなど |
おしゃれ着(普段着) | 小紋 色無地(紋なし) 紬 |
食事会、同窓会、観劇など |
現代では着物を普段に着る方が少なくなっています。
さらに、安価で手に入るポリエステル製の小紋も普及し始めたため、買取後の小紋が中古で出回ったとしても需要はそこまで高くありません。
そんな背景が小紋の買取価格にも影響してきます。
※ただし、後述する「着物愛好家に熱烈な人気のある種類の小紋」は例外です)
さて、気になる小紋の買取価格の相場ですが、状態がいい絹のもので約1000円~5000円前後です。
「状態がいい」とは「ほぼ新品」と言い換えると分かりやすいでしょう。
シミや汚れ、傷が目立つものは1000円を下回ることもあります。素材が絹でないものも同じです。
こうやって相場を耳にしてしまうと「高額買取なんてほど遠い・・・」と思われるかもしれません。
しかし、小紋の中には「着物愛好家が一度は着てみたいと憧れる種類」があります。
それにあなたの小紋が当てはまる場合、買取価格は一気に数万円まで跳ね上がる可能性があります。
着物は骨董品と同じで、見る人が見ればその価値が分かるものです。
どうせ二束三文だし・・・と諦めずに、無料査定ができる専門家に問い合わせてみるのがおすすめです。
買取価格UPの可能性大!着物愛好家が憧れる6種類の小紋
現代において、小紋に袖を通す人はほぼ間違いなく「着物愛好家」です。
着用シーンは観劇や食事会、お稽古事など普段に限られますが、それでも着たいと思う方が小紋を買い求めます。
着物愛好家の方たちの中で人気なのは、「伝統の技法で手間暇かけて作られた小紋」です。
「せっかく身にまとうのであれば、作り方も含めて日本の伝統を感じたい!」それが愛好家の方たちの想いなのです。
日本では各地でさまざまな染め・織りの技法が生まれましたが、とりわけ次に紹介する技法を使った小紋は有名で需要が高いです。
そのため、買取価格が相場よりもアップする可能性があります。
①江戸小紋
※画像は「東京都染色工業協同組合」公式サイトより引用
江戸時代に大名が着ていた裃(かみしも)に施されていた、単色で非常に細かい柄の染め模様が発祥になっている小紋です。
小紋の中でも格が高く、紋を入れれば第二礼装(セミフォーマル)として着用できます。
遠目で見ると無地に見えるくらい細かい模様は、主に「鮫(同じ大きさの細かい点が放射状に染められたもの)」「行儀(同じ大きさの細かい点が等間隔で染められたもの)」「角通し(同じ大きさの細かい四角が等間隔で染められたもの)」の3種類が有名です。
型紙を使って細かな模様を染めるには非常に高度な技術が必要で、伝統工芸品に指定されています。
そのため本物の江戸小紋には証紙が付けられています。
②京小紋
※画像は「京友禅協同組合連合会」公式サイトより引用
京都で古くからおこなわれてきた「型染め」の技法を使って、全体に模様を配置したのが京小紋です。
花鳥風月を華麗に描く京友禅の流れをくんで、草花などの具体的なモチーフを染めていくのが特徴です。
江戸小紋は単色染めでかなりシンプルな見た目ですが、京小紋は多色染めのもの多く、柄も大きめで華やかさがあります。
京友禅の証紙や、伝統工芸品の証紙が付いているのが目印です。
③加賀小紋
※画像は「加賀友禅会館」公式サイトより引用
加賀友禅の技法を取り入れながら、全体に模様を配置したのが加賀小紋です。
「加賀友禅小紋」と「加賀染め小紋」に分かれているのが特徴です。
「加賀友禅小紋」は、手描きの小ぶりな模様が全体に散っており、柄と柄の間の余白が大きくとられています。
「加賀染め小紋」は型を使って染めていき、緻密な模様が淡々と続いていきます。
どちらも高い技術とたくさんの工程を重ねて作られる小紋で、完成品には加賀友禅の証紙や伝統工芸品の証紙が付いています。
④紅型小紋
※画像は「琉球びんがた事業協同組合」公式サイトより引用
沖縄(琉球)で独自に発展した染色技術である紅型。
メリハリのある色合いと、模様の中にぼかしを入れて立体感を出しているのが特徴です。
柄が全体的に配置される紅型小紋は、遠くからでもパッと目を引く華やかさと個性があります。
本場の「琉球紅型」の他にも、京都や東京の染めの技術と融合させた「京紅型」「江戸紅型」があり、証紙などで確認できます。
⑤絞り小紋
※画像は「一般財団法人 民族衣装文化普及協会」公式サイトより引用
生地の一部を縛って染めることで、その部分が白い模様となって浮き出て見えるのが「絞り」という技法です。
柄が細かければ細かいほど、それだけ縛る作業を繰り返した証。
全体的に模様が施された絞り小紋ができあがるまでには、気の遠くなるような時間を必要とします。
岩手県の南部紫根染や茜染が有名で、積極的に買取がおこなわれています。
⑥更紗小紋
※画像は「東京都産業労働局」公式サイトより引用
インドを起源とする染め物の「更紗」は、異国情緒たっぷりの模様が個性的な着物です。
もともとは木綿に染められていましたが、日本に伝わり絹にも染められるようになり「和更紗」と呼ばれます。
天草更紗、鍋島更紗、江戸更紗、京更紗などが有名で、その知名度が買取価格にも反映されやすいです。
- 江戸小紋
- 京小紋
- 加賀小紋
- 紅型小紋
- 絞り小紋
- 更紗小紋
この6種類の小紋をお持ちの場合は、買取査定額が相場よりも上がるチャンスがありますよ。
買取価格に大きく影響する小紋の”状態の良し悪し”とは?
買い取られた着物はその後中古として流通し、他の人の手に渡っていきます。
次に着る人がいるのを前提とするならば、当然良い状態で保存されている小紋の方が買取価格が高くなります。
ではどのような状態を”良い”とするのか?
具体的なチェックポイントを解説していきます。
①汚れや傷が目立たないもの
正絹(絹100%)の着物は、時間が経つごとに汗ジミや汚れが目立ってくる特徴があります。
タンスにしまった当時は問題がなくても、久々に出してみたら黄色く黄ばんでいた、カビが付いて変色していたというのはよくある話です。
また、天然繊維のため虫食いも起こりやすく、防虫剤などを適切に使っていなければ穴が空いている場合もあります。
高価買取されやすいのは、もちろんこのような汚れや傷がないものです。
つまり、比較的新しいものか、購入してから袖をほとんど通していないものとなります。
人気の種類の小紋であっても、次に紹介する有名作家ものの小紋であっても、汚れや傷が目立てば査定額は低いです。
高額買い取りされるには、まずは見た目がいかに美品か?が重要なポイントとなります。
②落款や証紙が付いているもの
- 有名作家が作った
- 有名な染め元、織元で作った
- 有名産地の生地を使って作った
- 有名店(老舗の呉服屋さんや百貨店)で作った
これらの事実は小紋の価値を上げる重要な役割を担っていますが、それを「証明するもの」が必要です。
納品された小紋の中に入っている証紙や落款が、「正真正銘〇〇作です」という証になります。
買取査定に臨む際には、必ず証紙や落款を見せるようにしましょう。
【落款・証紙がある有名作家の一例】
稲垣稔次郎・浦野理一・小倉淳史・鎌倉芳太郎・木村雨山・熊谷好博子・久保田一竹・小宮康助・児玉博・坂口幸市・城間栄順・芹沢銈介・添田敏子・田畑喜八・玉那覇有公・南部芳松・中島秀吉・中村勇二郎・百貫華峰・毎田仁郎・松原利男・皆川月華・吉岡常雄・六谷梅軒
【落款・証紙がある有名染め元・織元の一例】
誉田屋源兵衛・しょうざん・千切屋
【落款・証紙がある有名産地の一例】
牛首紬・小千谷縮・本場大島紬・加賀友禅・芭蕉布・久米島紬・久留米絣・薩摩絣・塩沢紬・信州紬・本塩沢・南部紫根染・茜染・紅型染め・弓浜絣・結城紬・読谷山花織
【落款・証紙・タグ・保証書などがある有名老舗の一例】
ぎをん斉藤・に志田・えり善・ちた和・きしや・おか善・越後屋・世きね・福田屋・高島屋百貨店・三越百貨店・大丸百貨店
③サイズが大きめのもの
大は小を兼ねるで、サイズの大きな小紋は仕立て直して小さくすることができます。
その反面、小さいサイズのものは生地がその寸法で裁断されているので、いくら頑張っても大きくすることはできません。
現代の女性は昔の女性に比べて身長が高いため、数十年前のビンテージ着物を着ると袖丈や裾が足りないケースがよくあります。
そのため現代の需要を考えるならば、サイズが大きめの小紋の方が重宝されます。
※ちなみに、現在既製品として販売されている着物のサイズは身長155~163センチくらいの方を想定しています。各部位の寸法の平均値は、下の図のようになることが多いです。
④季節感が目立たない柄のもの
着物の柄には季節の草花が描かれることも多いですが、例えば桜やもみじなど、季節を象徴するような柄の場合は着用できる期間が短くなってしまいます。
着物の世界では「四季に合わせた(もしくは季節を少し先取りした)柄を着る」のがおしゃれとされているため、例えば秋の草花の柄を冬や春に着ることはあまりありません。
小紋は普段のおしゃれ着として着用される着物です。
そのため、季節を問わず長く着られる柄の方が、着物好きの方には重宝されます。
このように、買取価格が相場よりも高くなりやすい小紋の特徴は、
- 見た目の美しさ(着古した感じがない様子)
- 希少価値の高さ
- サイズ
- 長く着られる柄
の条件がなるべく多く揃ったものです。
あなたの小紋がそれぞれの条件に当てはまるかどうか、チェックしてみましょう。
小紋の買取業者選びのコツ
あなたの小紋に納得の査定価格を付けてもらうには、買取業者選びも大切です!
- 近所のリサイクルショップや質屋
- ネットオークションまたはフリマアプリ
- 着物買取専門業者
着物の買取を受け付けている業者はいくつかありますが、やはり一番信用できるのは着物買取専門業者です。
生地に施されている染めや織りの種類は何なのか?
これは誰の(どこの)落款や証紙なのか?
このように、着物の査定には専門知識が必要になります。
近くだからと言って、専門知識を持つスタッフが手薄なリサイクルショップに持ち込んでしまうと、見る人が見れば「良いもの」でも、その価値に気付いてもらえないかもしれません。
ネットオークションやフリマアプリは、画面上でしか着物の様子を確認できないため、あとで汚れや傷み具合などで購入者と揉める危険性があります。
そう考えると、着物買取専門業者に直接見てもらうのが一番安心できる査定方法です。
着物買取専門業者が遠方の場合は、インターネットから査定を申し込むことができます。
宅配査定・出張査定・持ち込み査定などがあり、きちんと専門家が直接目で見られる環境が用意されています。
ぜひ「近所の」という条件よりも「専門性の高い人に」という条件を優先して業者選びをしてみましょう。
信頼できる専門業者かどうか?を判断する4つのポイント
着物買取専門業者の数は大小含めてたくさんあります。
そのため、どこにお願いしようか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで初めて買取業者選びをする方のために、信頼できる専門業者の特徴をまとめてみました。
①買取実績が豊富であること
ホームページなどをチェックして、着物の買取実績がたくさんある業者を選びましょう。
実績が多いということは、それだけたくさんの人に支持されている証拠です。
②買取の一連の流れが説明されていること
お手持ちの着物をどこに持って行って、どのように査定するのか?買取料金はどのようにして渡されるのか?
一連の流れがきちんと分かる業者を選びましょう。
③手数料(査定料や出張料)キャンセルについて明確に説明されていること
買取価格に納得がいかない場合は、もちろんキャンセルということもありえます。
または、いったんは買取が成立したものの、クーリングオフでキャンセルにするケースも考えられます。
そんな時は、着物はどうやって返却されるのか?査定にかかった手間に対して、お金を払う必要があるのか?
買取が成立しなかった場合の流れについても、明確になっている業者を選びましょう。
④スタッフの「顔」が見えること
問い合わせ先がきちんと明記されていたり、査定員が紹介されているページがあったりと、「中の人」につながりやすい専門業者の方が安心です。
以上、信頼できる着物買取専門業者を見つける4つのポイントをお伝えしました。
大切な着物を預ける業者です。
「高く買い取ってもらえる」以外に「丁寧に扱ってもらえるか?」にも気を配って選んでみてくださいね。