結婚式で着たっきり、タンスの奥にしまいっぱなしになっている黒留袖。

虫干しなどの管理から解放され、さらに買取で臨時収入になれば嬉しいですよね。

 

着物の中では最も格式が高い黒留袖ですが、買取価格は一体いくらになるのか?

高く買い取ってもらえるのはどんな黒留袖なのか?

そして「紋が入っていても売れるのか?」という問題も気になるところでしょう。

 

そこでこの記事では、

  • 黒留袖の買取価格の相場
  • 高く買い取られる黒留袖の特徴、低く買い取られる黒留袖の特徴
  • 黒留袖に入っている紋が買取価格に与える影響
  • 買取業者の選び方

について詳しく解説していきます。

 

あらかじめ予備知識を持ってから、黒留袖の行き先を考えていきましょう。

 

 

家紋が入った黒留袖は買い取りしてもらえるの?

着物の世界では、既婚女性の最上級フォーマルと位置づけられている黒留袖。

現在では、結婚式や結納式で新郎新婦のお母様(または親族の既婚女性)が着用するのが一般的です。

 

昔から日本では祝儀・不祝儀で着るものに「家紋」を付けるという習慣があったことから、黒留袖にも5つ紋が付けられていることが多いです。

 

【5つ紋のイメージ↓】

5つ紋

 

さて、ここで気になるのが「紋が入った黒留袖は買い取ってもらえるの?」ということです。

”〇〇家である”と示すのが紋の役割ですから、着る人が限定されることになります。

そんな状態の着物が果たして売却できるのでしょうか?

 

 

答えは、問題なく買い取りしてもらえます。

 

買い取りされた黒留袖が中古で流通し、次の着用者に渡る際には、一般的には「貼り紋」という処置が施されます。

貼り紋とは、シール状になった紋だけの生地を、もともと付いている紋の上から重ねて貼り付けることです。

そうすれば、もとの所有者の紋は表面からは見えなくなり、次の所有者の紋が目に入るようになります。

 

黒留袖は紋が付いているから買い取ってもらえないかも・・・と買取査定を遠慮する方も多いですが、その心配はありません。

むしろ、お手持ちの黒留袖が有名作家が手がけたものだったり、有名産地の生地が使われていたりした場合、状態によっては高額で買取される場合もあります。

 

 

黒留袖は現在でも祝儀で需要のある着物ですから、タンスの奥でシミや虫食いに荒らされるよりは、流通して次の誰かに袖を通してもらう方が価値があります。

ぜひ一度査定を受けてみることをおすすめします。

 

 

黒留袖の買取相場と高値が付くポイント

黒留袖の柄

黒留袖の買取価格の相場は、1着5000円~1万円前後になります。

格式が高い分、良い生地を使って丁寧な装飾が施された着物ですが、着用シーンが限られるので買取価格はそこまで高くはなりません。

 

ですが、これからご紹介するポイントにたくさん当てはまっていれば、買取価格は相場の数倍になることもあります。

 

 

【高値が付くポイントその①】有名作家が手がけたもの

着物の生地に表情を付ける「染め」や「織り」の分野において、優れた技術を持っている有名作家がいます。(人間国宝・伝統工芸師など)

そんな作家が手がけた黒留袖で状態の良いものであれば、1着5万円~10万円以上の高値が付くことも珍しくありません。

 

ただし、その作家が作った証拠となる落款や証紙がなければ買取価格は下がります。

査定に出す際には、必ず落款や証紙も付けるようにしましょう。

 

【有名作家の一例】

上野為二・木村雨山・熊谷好博子・久保田一竹・田畑喜八・中村勝馬・中町博志・野口真造・野口功造・野口彦太郎・羽田登喜男・百貫華峰・毎田健治・毎田仁郎・皆川月華・森口華弘・森口邦彦・山田栄一・山田貢・由水十久

 

 

【高値が付くポイントその②】有名染め元・織元の品

着物や帯の生地メーカーである染め元・織元にも有名どころがあります。

そこで作られた反物を使った黒留袖は、買取価格が相場よりも高くなる傾向が強いです。

 

ただし、落款や証紙で証明できることが条件です。

 

【有名織元・染め元の一例】

しょうざん・大彦・千切屋・大羊居

 

 

【高値が付くポイントその③】有名産地の生地を使った品

着物の生地は、柄や色などの風合いが作られた土地によって違います。

有名産地の生地を使った黒留袖であれば、その分買取価格も高くなります。

 

※産地を証明する落款や証紙は査定に必ず出しましょう。

 

【有名産地の一例】

加賀友禅・京友禅・江戸友禅・紅型染め

 

 

【高値が付くポイントその④】老舗で購入したもの

歴史のある呉服店や百貨店で購入した黒留袖は、その名前に見合った品質が保障されているようなものです。

老舗の黒留袖で状態が良ければ、高値で買い取りされる可能性が高くなります。

 

証紙や落款は査定の際に必ず見せるようにしましょう。

 

【老舗の一例】

ぎをん斉藤・に志田・えり善・ちた和・きしや・おか善・越後屋・世きね・福田屋・高島屋百貨店・三越百貨店・大丸百貨店

 

 

【高値が付くポイントその⑤】サイズが大きめのもの

大は小を兼ねるで、サイズの大きな黒留袖は仕立て直して小さくすることができます。

その反面、小さいサイズのものは生地がその寸法で裁断されているので、いくら頑張っても大きくすることはできません。

 

現代の女性は昔の女性に比べて身長が高いため、数十年前のビンテージ着物を着ると袖丈や裾が足りないケースがよくあります。

そのため現代の需要を考えるならば、サイズが大きめの黒留袖の方が重宝されます。

 

※ちなみに、現在既製品として販売されている着物のサイズは身長155~163センチくらいの方を想定しています。各部位の寸法の平均値は、下の図のようになることが多いです。

プレタ着物の寸法

 

 

【高値が付くポイントその⑥】「黒」が鮮やかなもの

黒留袖の最大の魅力は、漆黒と華やかな裾模様のコントラストです。

そのため、ベースの色となる黒がどれだけ鮮やかなまま保存されているか?が見た目の格調を左右します。

ぼやけのないキリッとした黒が印象に残る黒留袖は美品とされ、買取価格のアップにつながります。

 

 

【高値が付くポイントその⑦】シミや傷みのないもの

袖口や裾模様、比翼(二重構造になっている裏地の白い部分)など、着用したときに目立つ部分にシミや傷みがないものの方が買取価格は下がりません。

 

黒留袖の生地である正絹(絹100%)は、時間が経つごとにシミや虫食いのリスクが上がる特徴があるため、傷みの少ないものは必然的に「新しいもの」になります。

購入したものの全く袖を通さなかった、もしくは1~2回くらいしか着ていない黒留袖は、正しく保管されていれば状態がいいでしょう。

 

 

  1. 有名作家が手がけたもの
  2. 有名染め元・織元の品
  3. 有名産地の生地を使った品
  4. 老舗で購入したもの
  5. サイズが大きめのもの
  6. 「黒」が鮮やかなもの
  7. シミや傷みのないもの

この7つが、買取価格を相場より高くするポイントとなります。

さて、あなたがお持ちの黒留袖はどれだけ当てはまりましたか?

 

 

買取価格が相場よりも下がるのはどんな場合?

小銭

黒留袖は着物の中では最もフォーマルな位置づけであるため、着姿に「品の良さ」「格の高さ」が求められます。

そんな着姿を実現できないであろう状態の黒留袖は、残念ですが買取価格がほとんど付かない程度にまで下がります。

※有名作家や有名産地の黒留袖であっても、状態の良し悪しで買取価格は上下します。

 

【買取価格が下がるポイント①】傷みや古びた感じが目立つ

  • 袖口や衿、裾の裏に付いている比翼(重ね着しているように見える白い裏地)が黄ばんでいる
  • 裾模様にシミが付いている
  • 裾模様の刺繍がほつれている

 

など、着古した感じの出ている黒留袖は買取価格が下がる傾向があります。

もしも確実に作家ものの品であれば、着物専門のクリーニングや修理屋さんなどで状態を良くしてから査定に臨むという方法もあります。

 

 

【買取価格が下がるポイント②】「黒」が退色している

黒留袖の生地の正絹(絹100%)は、天然繊維であるため色落ちしやすい特徴があります。

本来真っ黒だったはずの部分が、日焼けやカビなどで白けた感じに退色すると、黒留袖ならではの高級感が薄れてしまいます。

これが買取価格の下落にもつながります。

 

 

【買取価格が下がるポイント③】サイズが小さい

現代女性(身長150~165センチ前後)が着て袖や裾が短くなってしまうサイズの黒留袖は、買取価格が低くなる傾向があります。

例えば小柄の方の寸法に合わせて仕立てられた黒留袖などは、この特徴に当てはまることが多いです。

 

 

  1. 傷みや古びた感じが目立つ
  2. 「黒」が退色している
  3. サイズが小さい

最もフォーマルな着物である黒留袖だからこそ、この3つのポイントが買取価格に与える影響はとても大きいです。

 

 

買取業者を上手に選ぶコツ

見積もり査定

黒留袖を始めとする着物の買取は、次のような場所で受け付けていることが多いです。

 

  • 近所のリサイクルショップや質屋
  • 着物専門買取業者(近くに店舗がない場合はネット上から査定を依頼)

他にも、ネットオークションやフリマアプリなどを使って自分で売るという方法もあります。

 

 

一番おすすめなのは、やはり着物専門買取業者に査定を依頼することです。

落款や証紙の価値を見抜けるか?ただの布地だと思わずに、デリケートな正絹に見合った取り扱いができるか?

とりわけこの2点は、専門知識を持った人でないとできないことです。

 

スタッフ全員が着物の知識を持っているとは限らないリサイクルショップや質屋では、あなたの黒留袖に正当な値段を付けられないかもしれません。

ネットオークションやフリマアプリは個人同士のやりとりになるため、シミのあるなしで揉めたり、返品などの可能性も考えられます。

 

黒留袖の状態を最も安全に保ちながら、本当の価値を数字で出せるのは”着物専門”買取業者です。

いくつかの業者を比較しながら、あなたにとって一番いい条件の一社を選んでみましょう。

 

 

買取業者への依頼方法は3パターン!それぞれのメリット・デメリットは?

電話連絡

着物買取専門業者への依頼方法は、主に3つあります。

  1. 宅配買取
    →宅急便で着物を業者に送って査定してもらう方法
  2. 出張買取
    →担当者に自宅に来てもらい査定する方法
  3. 持ち込み買取
    →専門業者に着物を持ち込んで査定してもらう方法

 

それぞれについて、メリットとデメリットをお伝えします。

 

 

【宅配買取のメリット】

  • 業者と一定の距離を保ちながらやりとりできる(家の中に直接業者を入れる必要がない)
  • 現金の直接やりとりがない(買取成立の場合、指定口座に振り込まれる)

 

【宅配買取のデメリット】

  • 着物の梱包や出荷の手間がかかる
  • 送料の負担が発生する場合がある
  • 査定の様子を実際に見ることができない

 

 

【出張買取のメリット】

  • 自宅から出ることなく査定を受けられる
  • 査定の様子を実際に見ることができる
  • 小物の追加査定など、臨機応変に対応してくれる
  • 着物を移動させる必要がなく、搬送中のシワや傷みのリスクを減らせる
  • 買取成立の場合、その場で現金が受け取れる

 

【出張査定のデメリット】

  • 家の中に業者が入ってくる
  • 査定を依頼した本人が立ち会う必要がある
  • 買取価格に不満がある場合、お断りするのに多少の勇気がいる

 

 

【持ち込み買取のメリット】

  • 査定の様子を実際に見ることができる
  • 買取成立の場合、その場で現金が受け取れる

 

【持ち込み買取のデメリット】

  • 着物の持ち運びに手間がかかる
  • 移動中に着物にシワが寄り、見た目の印象が悪くなる可能性がある
  • 買取価格に不満がある場合、お断りするのに多少の勇気がいる

 

 

それぞれのメリット・デメリットを見比べてみると分かるとおり、黒留袖を移動することなく査定できる「出張買取」が最もおすすめです。

 

宅配買取や持ち込み買取は、黒留袖の移動時間が長いほど生地にシワが寄る可能性が高くなります。

また、万が一雨などで水濡れしてしまったときにはシミの原因にもなります。

 

そういった、買取価格の低下につながるようなリスクを最小限にできるのが、専門業者に直接来てもらう出張買取です。

 

 

最近では、出張料や査定料など諸々の手数料がかからない買取業者も増えています。

自宅に来てもらうのは少し緊張するかもしれませんが、黒留袖をなるべくいい状態のまま買い取ってもらえるよう利用を検討してみましょう。

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